空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

無理に笑う頬が震えている。


数えきれない涙で濡れている。


それでも懸命に、お母さんは笑顔を守っていた。


そしてあたしの手を、思い切り握りしめていた。


痛いほど。

悲しいほど。

苦しいほど。



「きっと・・・きっと・・・負けずに、生きて欲しいって・・・」


「う・・・うぅーー・・・ヒッ・・・」



あたしはもう、声を殺すこともできず・・・しゃくり上げながら泣いていた。


息をするたび、ノドが痛む。


胸が痛い。心が苦しい。


それでもあたしは、うなづいた。


首を振るたび涙が落ちる。


涙を散らし、何度も何度も繰り返し、あたしはうなづいた。



知っているんだ、お母さんは全部。


なのに、あえて知らないふりをしている。


それは・・・あたしを解き放つため。


偽りの永遠に囚われたあたしの心が、自由になることを願って。



あたしは、お母さんの手を思い切り握り返した。


言葉にすることのできない、お互いの気持ちを伝えあうために。

< 222 / 244 >

この作品をシェア

pagetop