空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
気合十分で待ちかねているのに、祐輔はなかなか来ない。
そのうちチャイムが鳴ってしまった。
あたしと由依は顔を見合わせる。
「まさか本当に病欠?」
「最近の風邪って、ずいぶん根性あるんだね。新種かな?」
そう言って笑い合い、お互いの席に着いた。
病気なら、まぁしかたない。許してやるか。
それにしたって連絡ぐらいは、してくれてもいいだろうに。
・・・まさか、それもできないくらい、熱があるのかな?
うーん、ちょっと心配かも。後でもう一度、電話してみよう。
担任が教室に入ってきて、ホームルームが始まった。
まだザワついている空気を制するように、大きな声をあげる。
「こらー、みんなちょっと静まれー」
そんな程度じゃ、誰も静かにしたりなんかしない。
それを知ってる担任は、かまわずそのまま話し始める。
「実はなー、祐輔のヤツがー、昨日、引っ越したんだー」
―― シーーーーーン・・・・・・
教室中が、一瞬で静まり返った。