空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
「そんな! 信じられない!」
「先生! 冗談だよね!? 嘘だって言ってよ!」
「なんで!? なんで黙って行っちゃうの!?」
「そんなのヒドすぎるよぉ!」
女の子たちがわぁわぁ泣き始めた。
エカテリーナは完全に取り乱しているし、由依は真っ青になっている。
担任は必死にみんなをなだめようとしたけど、ムダだった。
何を言っても、怒声と悲鳴にかき消されてしまって。
そんな大騒動の中で、あたしはまるで夢を見ているようだった。
状況がよく理解できない。
祐輔が、引っ越した? 祐輔が、もういない?
どういうことなの祐輔? 祐輔?
頭の中に、いろんな祐輔の記憶がよみがえる。
薄暗がりの中、ひとりで中庭を見つめていた、あの背中。
あたしへの突然の告白。
『このままふたりで・・・どこかへ行ってしまおう』
あの切なそうな、苦しそうな声。
あたしを抱きしめた、強い腕。
熱く、長いキス。
全て・・・つながる。思い当る。
あの、残酷なほどの強い態度も、熱い視線も、なにもかも。