空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

あの時、祐輔が引きちぎった指輪。


先生の手の中で、小さく、赤く輝いていた。



「それと、伝言も預かってるぞ」


先生はあたしに手を突き出し、まるきり、普通の口調で告げる。


「『もう大丈夫だな?』・・・だとさ」


「・・・・・・・・・・・・」



あたしは何も答えず指輪を受け取った。


口を開けば、泣いてしまいそうだったから。


自分の手の平に乗せ、あたしの元に戻ってきた指輪を見つめる。


・・・赤い光が涙でぼやけた。


泣き声が出そうになって、口を手で押さえる。



「まったくあいつもなー、貴重品は校内持ち込み禁止だってのに」


「・・・・・・・・・・・・」


「教師に校則、破らせるなっての」


「・・・・・・・・・・・・」


「確かに渡したぞ。紛失なんて問題は起こすなよ? ちゃんと身に付けてろ」


「先生ぇ・・・・・・」


「なんだ?」


「・・・・・・辛い、よぉ・・・・・・」



泣き声が、手の平の中でこもった。


流れる涙の雫が、指の爪を濡らして、落ちる。

< 230 / 244 >

この作品をシェア

pagetop