空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
あの時、祐輔が引きちぎった指輪。
先生の手の中で、小さく、赤く輝いていた。
「それと、伝言も預かってるぞ」
先生はあたしに手を突き出し、まるきり、普通の口調で告げる。
「『もう大丈夫だな?』・・・だとさ」
「・・・・・・・・・・・・」
あたしは何も答えず指輪を受け取った。
口を開けば、泣いてしまいそうだったから。
自分の手の平に乗せ、あたしの元に戻ってきた指輪を見つめる。
・・・赤い光が涙でぼやけた。
泣き声が出そうになって、口を手で押さえる。
「まったくあいつもなー、貴重品は校内持ち込み禁止だってのに」
「・・・・・・・・・・・・」
「教師に校則、破らせるなっての」
「・・・・・・・・・・・・」
「確かに渡したぞ。紛失なんて問題は起こすなよ? ちゃんと身に付けてろ」
「先生ぇ・・・・・・」
「なんだ?」
「・・・・・・辛い、よぉ・・・・・・」
泣き声が、手の平の中でこもった。
流れる涙の雫が、指の爪を濡らして、落ちる。