空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
祐輔の新しい住所を、担任から聞き出そうとしたんだけど。
頑として担任は口を割らなかった。
『生徒が許可していない個人情報を、教師がバラすわけにいかない』 って。
どうやら祐輔と、固く約束していたらしい。
担任は女子生徒たちからの猛攻撃を受けたけど、見事、最後まで約束を守り通した。
そして次の年の春、やっぱり桜と共に他の学校へ移動していった。
いま思えば、骨のある人だったな。味もある先生だった。
元気かなぁ?
マンションの永遠の中庭は、あのあとすぐに潰されてしまった。
細長い木々。ブーケを作った白い花壇。
誓い合った小さな人工池。
キスを交わした、背の低いベンチ。
ひとつひとつ消えていく様を、あたしはジッと見つめていた。
由依と一緒に。
泣かずにいようと決意して、意気揚々とその場に臨んだんだけど。
惨敗。由依の胸で、みっともないほど号泣。
あたしは周囲の大注目を浴びてしまった。
だって無理もない。
あの永遠の庭は、あまりにも思い出が多すぎたから。
それでも乗り越えられたのは、由依の友情と、それと・・・
大切なものは、自分の中にあることを、あたしが学んだからだと思う。