空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
「ねえ、せっかくだからボク、ちょっと散歩したいな」
青い顔をした大樹がそんな恐ろしいことを言い出して、こっちの顔まで青くなる。
当然あたしはブンブン首を横に振って、全力で阻止しようとした。
「なに言ってんの!? ダメダメ絶対にダメー!」
「そんなこと言わないでよ。せっかくこんなにキレイな紅葉なのにさ」
「ダメです! ぜーったいにダメ!」
「ちょっとだけ。ほんのちょっと歩くだけだから」
うるうると、震える子犬のような目で訴えられてしまった。
う・・・・・・こ、この目にはあたし、実はかなり弱い。
それに大樹の気持ちもよく分かる。
奇跡的に参加できたバス遠足なのに、歩くことすら許されないんじゃ、あんまりだ。
本当なら、このまま休ませたいんだけど。
ううぅーー・・・し、しかたない!
「ち・・・ちょっとだけだからね?」
「うん! ありがとう佳那!」
大樹の白い顔がパァッと明るく輝いた。
・・・・・・この笑顔にも、弱いの。あたし。
ハァ、あたしも甘いなぁ。