空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

大樹とあたしと、祐輔。


三人並んで、秋の高原を仲良く散歩した。


目に映るすべての木々は、鮮やかな錦の色に、美しく染められてる。


抜けるように透き通った空は、どこまでも清々しく、気持ち良いほどに青い。


「うわぁ、綺麗だなぁ・・・・・・」


大樹は目を輝かせて、空の青と木々の錦を、食い入るように見つめていた。


胸がすく様な、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込む。


そして賑やかに走り回っている大勢の生徒たちの騒々しい声に、じっくり耳を傾ける。


レジャーシートの上のカラフルなお弁当。


女子がおしゃべりしたり、男子が木登りしたり。


大樹は、元気で楽しそうなみんなの様子をすごく嬉しそうに眺めている。


そして高原の土の感触を味わうようにゆっくり歩いていた。


あたしと祐輔も、大樹を真ん中にしてピタリと寄り添い歩く。


大樹の歩幅に合わせて、ゆっくり、ゆっくり。


大樹、なんて嬉しそうなんだろう。


青白い顔をこんなにもニコニコさせて、本当に上機嫌だ。


今、どんなに彼は喜んでいるんだろう。


あたしも嬉しくてたまらなくなる。


大樹のこんな嬉しそうな顔、初めて見たかも。


良かった。大樹が遠足に来ることができて本当に良かった!

< 25 / 244 >

この作品をシェア

pagetop