空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
大樹とあたしと、祐輔。
三人並んで、秋の高原を仲良く散歩した。
目に映るすべての木々は、鮮やかな錦の色に、美しく染められてる。
抜けるように透き通った空は、どこまでも清々しく、気持ち良いほどに青い。
「うわぁ、綺麗だなぁ・・・・・・」
大樹は目を輝かせて、空の青と木々の錦を、食い入るように見つめていた。
胸がすく様な、澄んだ空気を胸いっぱいに吸い込む。
そして賑やかに走り回っている大勢の生徒たちの騒々しい声に、じっくり耳を傾ける。
レジャーシートの上のカラフルなお弁当。
女子がおしゃべりしたり、男子が木登りしたり。
大樹は、元気で楽しそうなみんなの様子をすごく嬉しそうに眺めている。
そして高原の土の感触を味わうようにゆっくり歩いていた。
あたしと祐輔も、大樹を真ん中にしてピタリと寄り添い歩く。
大樹の歩幅に合わせて、ゆっくり、ゆっくり。
大樹、なんて嬉しそうなんだろう。
青白い顔をこんなにもニコニコさせて、本当に上機嫌だ。
今、どんなに彼は喜んでいるんだろう。
あたしも嬉しくてたまらなくなる。
大樹のこんな嬉しそうな顔、初めて見たかも。
良かった。大樹が遠足に来ることができて本当に良かった!