空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
「大樹、良かったね」
「うん!」
あたしに向かって大樹が満面の笑顔を返す。
その次の瞬間・・・・・・とつぜん、大樹の笑顔がサッと強張った。
「大樹? どうかし・・・・・・」
―― ボダボダボダ!
固まった表情の大樹が、いきなり鼻血を出した。
流れ落ちる水のように勢いのある出血に、大樹は鼻を押さえ、その場にうずくまる。
「きゃああ! 大樹ーーー!」
あたしは悲鳴を上げて、大急ぎでティッシュを取り出し大樹の鼻を押さえた。
「大樹! 大樹ーーー!」
「オレ、先生呼んでくる!」
祐輔が血相変えて全力で走り出した。
あたしは必死になって大樹の鼻を押さえ続ける。
あぁ! やっぱり散歩するなんて無理だったんだ!
あたしのせいだ! あたしのせいで大樹がこんなことに・・・!
「大樹ごめん! ごめんなさい!」
「佳那のせいじゃ、ない・・・・・・」
大樹はそう言って、力無く首を横に振った。
ティッシュはあっという間に真っ赤に染まって、役に立たなくなった。
あたしの手が大樹の血の色に染まる。