空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

「わー! どうしようどうしよう!」


「どうしようって、佳那、わざとやってたんじゃないの?」


「わざとやるわけないでしょ!? 無意識に決まってるじゃん!」


「だって破いてる教科書、佳那の大嫌いな数学だから」


・・・あ、ホントだ。


被害にあってるの、数学の教科書一冊だけ。


あたしってば無意識のくせに、しっかりと天敵の教科書だけ狙い撃ちしたのか・・・・・・。


「・・・・・・佳那らしいね」

「うん。自分でもそう思う」

「・・・・・・・・・・・・」


あたしたちは顔を見合わせ、声を上げて笑った。


大樹の両マユが下がって、すごく可笑しそうに笑ってる。


頬が赤い。白い歯がキレイだ。


笑い声が元気で明るい。


大樹、楽しそう。すごく楽しそう!


その笑顔が眩しいよ。


大樹が楽しそうなのが嬉しいよ。


ものすごく幸せな気分だよ。

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