空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

大量投下される鮮烈な赤色に、あたしはビビッて大パニック。


無我夢中で自分のティッシュとハンカチをポケットから取り出した。


そしてとっさに彼の鼻を押さえて止血を試みる。


「下向いて! 上を向いちゃダメだからね!? せ、先生ー! この人、すごい鼻血出してますー!」


あたしは悲鳴・・・というより絶叫を轟かせた。


席に控えていた先生たちが駆けつけて、慌てて彼を運んで行く。


もちろん式は一時中断。


退屈の極致だった体育館は、一転して大騒動になってしまった。


(な、なんだったんだろ。今の・・・・・・)


唖然として鼻血少年を見送るあたしの両手は、気付けば赤い血がべっとり。


でもティッシュもハンカチも提供しちゃったもんだから、拭くこともできないし。


結局そのホラーな状態で、あたしは入学式に参加し続ける事になってしまったわけで。


わ、わりと最悪だと思うんですけど。


あぁ、記念すべきあたしの入学式・・・・・・。

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