空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

大樹の症状は、あい変わらずだった。


時々、大量に鼻血を流しては病院に運ばれる。


気のせいか、鼻血を出す回数が多くなってきている気がする。


それが不安で、あたしはひどく泣いた。


大樹の無事を、離れ離れの場所から必死に祈り続ける。


そして何日かして、大樹が無事に戻って来てくれる。


やっと安心して過ごす、大樹との穏やかな日々。


あたしたちの毎日は、ただ、その繰り返しだった。


季節が過ぎて、学年が変わっても。


大樹の体調が良い時は、あたしは心臓病のことは忘れていた。


・・・・・・ううん。



忘れたふりをした。



本当は、いつもいつも心の奥底に隠してある。


恐れも、不安も、悲しみも。


でも、そんなもの見たくなかった。


大樹の笑顔を見て、それに安心していたかった。


大丈夫だと思いたかったんだ。


この笑顔は、永遠なんだと。


永遠に、大樹とあたしは一緒なんだと信じたかった。



あたしと大樹は祐輔の部屋で


手を握り、肩を寄せ合う。


そしてじっと目をつぶって


穏やかな時間を、ただ愛しんでいた。

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