空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
あたしは微笑みながら首を横に振った。
リクエストなんて・・・・・・。
これ以上のぜいたくを望んだら、バチが当たりそうで怖いよ。
「ボクあるある! 昔から夢だったんだ! 高原の、湖のそばの教会で結婚式を挙げるのが!」
大樹が元気に右手を高く挙げて答えた。
「あと、キレイな花がいっぱい咲いてるのがいい!」
「・・・なんだよその、乙女チック要素満点のムチャ振りは」
「い、いいだろー。人の夢にケチつけるなよー。なんでも言えって祐輔が言ったんだろ!」
「そりゃ大樹じゃなくて佳那に言ったんだ。お、そういえば!」
祐輔が指をパチンと鳴らした。
「ぴったりな場所があるな! すぐ近くに!」
祐輔オススメの場所は、このマンションの中庭だった。
良く手入れされた青々とした芝生。
たくさんの種類の色鮮やかな花。
背の高い木々が植えられている、けっこう広い庭だった。
そういえば小さな人工池もあったっけ。
「でもあそこって、立ち入り禁止だろ?」
「ふふん。オレに任せろ!」
自信満々に祐輔は引き受けた。
そして言葉通りに、見事に出入り口のカギを手に入れてきてくれた。