空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
『入学式ではありがとう。迷惑かけてゴメンね』
初めて見た、輝く笑顔。
見た瞬間に胸がドキンと鳴ったのを、今でも覚えている。
『だからね、これからボクのお世話係、よろしく!』
驚くあたしの顔を見る、楽しそうな大樹の表情。
大樹のイタズラに、よくあたしは笑わされた。
あたしの笑い顔を見ると大樹は、それ以上に嬉しそうな顔をして笑った。
たぶんあのイタズラは全部、ワザとやっていたんだろう。
あたしを笑顔にするために。
そうやって、大樹はいつも人を笑顔にさせるくせに・・・・・・
『佳那のことが好きだよ。もうずっと前から』
なのに彼自身は、あのとき泣いていた。
赤い血にまみれて、泣いていたんだ。
笑顔も、イタズラも、苦しむ姿も、涙も。
大樹はすべてをあたしに見せて、与えてくれた。
この手の中に、確かに大樹が、あった。
なのに・・・・・・なのに・・・・・・。
『こんなボクが佳那を好きになっちゃって・・・・・・ごめんよ・・・・・・』
手の平の血と、大樹の姿が重なる。
大樹の声が聞こえる。
『ごめんよ・・・・・・佳那』