空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

窓の向こうの桜の木が、緑の葉ばかりになった頃・・・


(・・・・・・あ)


朝、教室に一歩入ったあたしの足が止まった。


あたしの隣の席に、あの時の彼が座っている。


(・・・やっと学校に来たんだ・・・)


あたしはちょっとばかり緊張しながら、さり気なく席に近づく。


気付いた彼が振り返り、真っ先に話しかけてきた。


「入学式ではありがとう。迷惑かけてゴメンね」


それが、初めて聞いた彼の声だった。


色白な、可愛い笑顔の男の子。


あたしは一瞬、なぜか胸がドキッとしてその笑顔に惹きつけられてしまった。


薄茶色の柔らかそうな髪。


丸い大きな目。


体の線が細くて、小柄な男の子。


でも、とっても優しそう・・・。


入学式の日は、とにかくもう鼻血ばかりが強烈に印象に残ってて。


正直言って彼の顔なんか、ろくすっぽ記憶に残って無かった。


だからまるで初対面みたいに感じる彼の明るい笑顔は、輝く様にキラキラしてた。

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