空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
「あれ? 祐輔、そのお守りはどうしたの?」
ベンチの横に置かれたカバンに、可愛いお守りがぶら下がっている。
お手製だって、ひと目で分かった。
「これか? マネージャーが全員分作って、配ってくれた。ケガ防止のお守りだって」
ふう~~ん。
確かあのマネージャーって祐輔に告白して、断られてたんだよなぁ。
あたしは、バスケ部のマネージャーの顔を思い浮かべた。
ポニーテールをリボンでキュッと結わえている、可愛い子だったよなぁ。
よく見ればそのお守りは、あの子がいつもつけてるリボンの色と同じ色。
「本当はそのお守り、祐輔だけに手渡したかったんじゃない?」
祐輔は返事をしなかった。
あたしは、その横顔を見ながら思う。
ありったけの勇気をふりしぼって、好きな人に告白して。
でも、想いは叶わなかった。
届かない想いを抱えたまま、その人のそばにい続けるのは・・・・・・辛いだろう。
それでも諦めきれない。
どうしても想いは消せない。
なのに、捨てることもできない。
切ない想いに胸を焼かれながら、だまって見つめているだけ。
一生懸命にお守りを縫っている姿が、目に浮かんだ。
その背中が、泣いているように思えた。