空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
「好きでもない女と、付き合うことはできねえよ」
あたしが何を考えているのか、伝わったんだろう。
祐輔は、どこか固い表情でそう言った。
「別に・・・・・・無理に付き合えなんて言ってないけどさ」
「お前だったら、どうするよ?」
「あたし? なにが?」
「お前のことを好きだって言う男が現れたら、どうする?」
あたしは目をパチパチさせた。
なんだか祐輔、妙にマジメな顔してるけど。
・・・あたしを好きな男の子が現れるって?
なにそれ?
祐輔は、フンッと笑って意地悪な顔になった。
「世界は広いからな。そんな最高に悪趣味な男が、地球上にひとりくらいは、いるかもしれねえだろ?」
「あんたは、いちいち言い方が頭にくるんだけど!」
まったくもー!
それってつまり、大樹が地球上で最高に趣味が悪かった。
・・・ってことじゃん!
失礼なヤツだなー! ね、大樹!
「そんなの、決まってるでしょ?」
あたしは胸元から、ガーネットの指輪を取り出して見せた。
「あたし、もう結婚してますからー」
へへっと笑って、指輪をちらつかせる。
祐輔は、あたしの自慢そうな顔と指輪を見比べた。
そして少しうつむきがちに、「そうだな」って言って笑った。