空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
「お前、もう帰れよ。すぐに暗くなるぞ」
「うん。そうするよ」
あたしはベンチから立ち上がり、出入り口へ向かった。
そして、数歩歩いて足を止める。
一緒に中庭を出るとばかり思ってた祐輔が、来ない。
ベンチに座ったままだ。
「祐輔、帰らないの?」
「ああ。もうちょっとここにいる」
「え?」
あたしは、動こうとしない祐輔を見た。
なんだかいつもと様子が違う。
・・・もしかして、何かあったのかな?
それならあたしに何でも言って欲しい。
「どうかしたの?」
「あのなあ、オレだってお年頃の男の子よ? ひとりになりたい時だって、あるのよ?」
おどけた口調で、祐輔はそう言った。
それが余計に気になって心配になる。
あたしは親友なんだから、いつでも力になるよ?
「ねえ、祐輔・・・・・・」
「だから、なんもねえって。いーからさっさと帰れ帰れ」
「でも・・・・・・」
「かーえーれっ。ホラ、かーえーれっ」
「帰るわよっ!」