空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~
はやし立てる祐輔に、つい反射的に怒鳴ってしまった。
もう! 心配してるってのに!
なんでこう、いつもいつも人をちゃかすかなー!?
ね、大樹!
プンプンしながら帰り始めたあたしの背中に、祐輔が声をかける。
「おい、佳那」
「なによ!?」
「オレさ、もうずっとお前を・・・・・・」
「ずっと何よ!?」
「・・・・・・・・・・・・」
祐輔が、視線をそらした。
そして少しだけ唇を動かして、そのまま言葉を飲み込んでしまう。
一瞬の沈黙の後、祐輔は、もういつもの笑顔に戻っていた。
「なんでもねー。気を付けて帰れって言いたかっただけだ」
そしてニコニコと笑顔で手を振る。
「じゃあ、また明日な。佳那」
「うん。また明日」
あたしは、再び出入り口へと向かう。
そしてチラリと祐輔の様子をうかがった。
やっぱり、なんだか変だ。部活で何かあったのかな?
部員とトラブル? まさか、祐輔に限ってそれは無いと思うけど。