空色涙 ~キミと、永遠と、桜を想う~

これまでも、何度か彼女から嫌がらせは受けてきた。


その方法が、まぁ全部、実に巧妙で。


ハッキリと明確に


『ちょっとあなた、これは嫌がらせですから、やめてください』


と、抗議できるような行為はしてこない。


あたしにだけ、配布物をうっかり配り忘れるとか。


あたしにだけ、連絡事項をうっかり伝え忘れるとか。


あたしにだけ、なぜかプリントの端っこがビミョーに破れてるとか。


しかもその後で、ちゃんと謝ってくるんだよなぁ。


『ごめんね。うっかりしちゃって』 って。


・・・・・・またかよ。


ゲンナリしながらも、頭を下げて謝られてしまったら許すしかない。


美人で頭も回る大森さんは、クラスの中でも中心人物。


女子グループの最大派閥のリーダーだ。


逆らうと、非常にマズイことになるタイプ。


しかたない。いつものことだ。


ここは静かにおとなしく、やり過ごそう。


ロッカーなんて、どうせすぐ使い終わるでしょ。


カバン入れて、靴を履き替えるだけなんだし。

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