人魚と恋
疲れ
航くんと付き合い始めた。
でも、私の母校に講師として行くようになり、忙しいのとあんまり一緒にいるのを見られたらまずいのとで付き合った日以来会ってなかった。
正直、寂しい。でも、前のように付き合ってるのかとか好きなのかどうか聞かれたとき否定できないから、前よりずっと気を付けるようにした。
それに、なんだかんだ彼はまだ高校生なんだから、私がぐっと我慢しなきゃ、甘えちゃだめだって思って、自分を追い詰めてた。
だから、新しい学校で辛くなっても、気のせい気のせいって耐えてた。
新しい学校が私にとってどんなに辛くても、馬鹿みたいに耐えてた。
ある日、新しい学校からの帰り、疲れがたたって、もう倒れるんじゃないかって寸前になりながら、コンビニで甘いものを買って家に帰った。
家に着いたら、甘いチョコで癒されながら残った仕事をしなきゃ…
憂鬱さにため息をついて、自宅があるマンションに入る。
すると、ロビーに見知った人が座ってた。航くんだった。
「あ、あれ…ごめん、今日会う約束してたっけ…?」
頭を抱える。最近の睡眠不足でよく思い出せない。
航くんが私に駆け寄ってくる。
「あ、違くて、最近疲れてるみたいだから、甘いものでも…って思って。」
航くんは可愛いラッピングの箱を差し出した。
「可愛い」
疲れていて、声になってたかわからないけど、そう言いたくなるような可愛いラッピングだった。