人魚と恋
「ゆうさん忙しいんじゃ…」
「大丈夫、大丈夫」
ゆうさんはおれの言うことをほとんど聞いていなかった。ただただ大丈夫と言って部屋まで引っ張って行くと、そこで初めて手を離して、リビングで座ってて、と言われた。
俺は仕方ないからリビングに座る。
心なしか、前に来た時よりリビング含め、家の中全体がごちゃごちゃしてるように感じた。ゆうさん、こんなに追い詰められてる…俺は胸が苦しくなった。
ゆうさんは飲み物と写真を持ってきた。
おれはもらった飲み物を飲みながら、やっぱり前にも見せてもらったやたら古いゆうさんの姉妹の写真を見せてもらった。今回は写真を見ながら色んな話をしてくれた。
ゆうさんは妹さんを昔からとても可愛がっているが、妹さんはご両親にはあまりよく思われていないらしい、それもあってゆうさんによく懐くみたいだ。
妹さんは、ゆうさんが言うにはいい子ではあるけど、あまり協調性がなくて、周りになかなか馴染めない子のようだった。そんな子にゆうさんが学校でも少し特別扱いをしてしまうゆえに周りからは…
ゆうさんの話は不思議だった。妹とゆうさん自身を凄く良く言ったかと思えば、妹さんもゆうさん自身も憎い相手のように言ったりする。
おれは複雑な心境でその話を聞いて、今度は見つけられるよう写真の妹さんを食い入るように見た。