人魚と恋
「あ、普通にいい子でした。
大人しい、って聞いてたけど、話すのが好きそうな良い子でしたね。
クラスでなんでうまくいかないのかよく分からないくらいです。」
その説明に満足したのか、ゆうさんはそっかと言って遠くを見ていた。その姿が、この前の別れ際のように弱々しく壊れそうで、そのまま何処か遠くに行ってしまいそうな雰囲気がして、俺は心配でたまらなかった。
それにゆうさんは今回はあっさりマンションの少し手前でわかれた。
「まだそんなに遅くはないけど気を付けてね。」
そのゆうさんのあまりのあっさりさに俺は戸惑いを隠せないまま帰途についた。