人魚と恋
別れ
違和感
それからゆうさんとなかなか会えない間も、時間はあっという間に過ぎて行った。
ゆうさんは、俺が妹さんとあった日からなかなか会えない。マンションの下で待ってても全然帰ってこなくて、仕方なくお菓子を持って帰る日々が続いた。
初めはポストにでもいれておこうかと思ったけど、少し見ただけでポストに最近触っていないことが分かったのでやめておいた。
メールはほとんど返ってこなくなっていた。ただ、たまにゆうさんから意味が分からないメールが送られてきた。
ごめんなさい、私は違う。とかそう言ったことばかり言った内容。心配になってすぐに電話したりメールしたけど、いつも決まって少し時間が経ってから、ごめん、あのメールは間違えたの、気にしないでねと言ったメールが来るだけ。
本当に大丈夫なのか?これは流石にダメだろ。もう引っ張ってでも病院に連れて行くしかないと決意した。
そう決めた日に限って、外は雨が降り、早くゆうさんのもとに行こうとすると友人に捕まる。
授業が終わり急いで教室を出ようとした俺を司路が止める。
「ごめん、司路。今日は本当に急いでて今度じゃダメか?」
「だめだっ少しでいい、聞いてくれ。」
まあ、ゆうさんにも学校があるから、今から行っても会えない、なら少しくらいはいいか…と思い、司路に人気のない廊下に素直に連れて行かれた。
「なんだよ、司路がそんな言うなんて珍し」
俺の言葉は途中で遮られた。
「おい、今山村さんどうなってんの?
周りみんな心配してるのに全然連絡なくてさ、吉田さんも心配してるんだよ。
お前はなんか聞いてるんじゃないの?
今から行くところなんだろ?」
山村?ああ、ゆうさんの名字か。てか吉田さん誰だ、なんて思いながら、もう一方で、もしかして俺が知らない間に何かが起きているのか?という考えがよぎった。
「今から行くところだけど…
俺もゆうさんと最近連絡とれてなくて、
とりあえず行こうと思ってたんだけど…
ゆうさんになんかあったの…?」
司路は目を丸くした後、大きくため息をついて俺の肩を掴んだ。
「まじかよ、お前。
じゃあゆうさんが学校無断で休み始めたことも知らないわけ?」
「えっいつから!?」
司路から聞いたところ、なんと俺が妹さんとあった頃には無断欠勤だったらしい。
「それおかしいよ…
だって俺学校であったし…」
口ではこう言いながらも、様子のおかしかったゆうさんを思い出すと無断欠勤という言葉も違和感なく感じてしまう。