金木犀のアリア
3話/その指でしか……
「詩月……。話すことはないか?」
「……」
「難なく弾いているつもりだろうが、誤魔化せていると思っていたか?」
「……」
「痛みはいつからだ!?」
いつになく、声のトーンを落とし柔らかい声のヴァイオリンの師匠。
詩月は、師匠のいつもは鉄面皮のような顔が穏やかなのに気付く。
「詩月、君は君の母親を見ていて知ってるだろう!?
無理をすると、どうなるのかを」
言いながら、師匠は胸ポケットのボールペンをとりメモ用紙に走り書きをする。
「ここを訪ねてみろ。専門医だ」
詩月は手渡されたメモに目を落とし、不安にかられ震える指を握りしめた。
「……」
「難なく弾いているつもりだろうが、誤魔化せていると思っていたか?」
「……」
「痛みはいつからだ!?」
いつになく、声のトーンを落とし柔らかい声のヴァイオリンの師匠。
詩月は、師匠のいつもは鉄面皮のような顔が穏やかなのに気付く。
「詩月、君は君の母親を見ていて知ってるだろう!?
無理をすると、どうなるのかを」
言いながら、師匠は胸ポケットのボールペンをとりメモ用紙に走り書きをする。
「ここを訪ねてみろ。専門医だ」
詩月は手渡されたメモに目を落とし、不安にかられ震える指を握りしめた。