金木犀のアリア
「教則本通り、正確な運指法に、直すことだ。
今のような弾き方を続けるならば、演奏家として弾けなくなるのは時間の問題だ」
詩月は重く鈍く胸が跳ね、指先が冷たくなっていくのを感じた。
「それと、ピアノは鍵盤の調整を元に戻すこと。
重い鍵盤は指の負担になる。
もう1つ、練習時間の削減が必要だ」
詩月は1日、ピアノとヴァイオリンを合わせ、最低でも6時間以上の練習をする。
まして、今はヴァイオリンコンクールが間近に迫っている。
練習時間を増やすことは考えても、減らすことなど考えられない。
「練習時間を半分にすること。これは強制だ」
「……ありえない」
詩月は思わず口にする。
「弾けなくなってもいいのか!!」
いきなりの、怒号にも似た一喝に、詩月は胸に鋭い痛みを感じ、胸に手を当て呼吸を整えた。
今のような弾き方を続けるならば、演奏家として弾けなくなるのは時間の問題だ」
詩月は重く鈍く胸が跳ね、指先が冷たくなっていくのを感じた。
「それと、ピアノは鍵盤の調整を元に戻すこと。
重い鍵盤は指の負担になる。
もう1つ、練習時間の削減が必要だ」
詩月は1日、ピアノとヴァイオリンを合わせ、最低でも6時間以上の練習をする。
まして、今はヴァイオリンコンクールが間近に迫っている。
練習時間を増やすことは考えても、減らすことなど考えられない。
「練習時間を半分にすること。これは強制だ」
「……ありえない」
詩月は思わず口にする。
「弾けなくなってもいいのか!!」
いきなりの、怒号にも似た一喝に、詩月は胸に鋭い痛みを感じ、胸に手を当て呼吸を整えた。