金木犀のアリア
6話/鶴岡八幡宮
騒ぎの翌日。
登校した詩月に普段通り話しかけたのは、郁子が最初だった。
「体、もういいの?」
「ああ……」
詩月は短く答え、視線を反らした。
緒方は、人の気持ちを考えず執拗に、あれこれと尋ねてくる性格ではないと思っていても、詩月は不安で仕方なかった。
生徒会長に殴られた鳩尾辺りは、まだ時折痛みが走り、ふとした拍子に膏薬独特の匂いが、鼻を掠める。
専科の授業で教室移動をするとき、生徒会長は詩月を避けるように急ぎ足ですれ違った。
昨日。
詩月は発作が治まり気づいた時、安坂の言った言葉を思い出した。
登校した詩月に普段通り話しかけたのは、郁子が最初だった。
「体、もういいの?」
「ああ……」
詩月は短く答え、視線を反らした。
緒方は、人の気持ちを考えず執拗に、あれこれと尋ねてくる性格ではないと思っていても、詩月は不安で仕方なかった。
生徒会長に殴られた鳩尾辺りは、まだ時折痛みが走り、ふとした拍子に膏薬独特の匂いが、鼻を掠める。
専科の授業で教室移動をするとき、生徒会長は詩月を避けるように急ぎ足ですれ違った。
昨日。
詩月は発作が治まり気づいた時、安坂の言った言葉を思い出した。