金木犀のアリア
我流で弾く癖のついてしまった弾き方――指使いは、なかなか教則本通りには直せなかった。
レッスンに通うたび、決まって演奏中も最後にも注意された。
が、リリィがヴァイオリンの師匠を引退するまで運指の癖は直らなかった。
今も完全には直せていない。
無理な運指。
そのつけが今、回ってきていることは何より詩月自身が実感している。
レッスンのたび、心配そうに見守っていたリリィの顔が思い出される。
もっと厳しく、もっと強く叱りつけられても良かったのかもしれない。
自分のことは棚にあげ、虫の良すぎることを考えて、
「違う。指導通りをきちんと実践できなかった自分自身が悪いんだ」と、詩月は思い直し首を振る。
レッスンに通うたび、決まって演奏中も最後にも注意された。
が、リリィがヴァイオリンの師匠を引退するまで運指の癖は直らなかった。
今も完全には直せていない。
無理な運指。
そのつけが今、回ってきていることは何より詩月自身が実感している。
レッスンのたび、心配そうに見守っていたリリィの顔が思い出される。
もっと厳しく、もっと強く叱りつけられても良かったのかもしれない。
自分のことは棚にあげ、虫の良すぎることを考えて、
「違う。指導通りをきちんと実践できなかった自分自身が悪いんだ」と、詩月は思い直し首を振る。