金木犀のアリア
ヴァイオリンコンクール予選。


舞台に上がって曲を弾き始める時、ソリストは孤独だと詩月は改めて実感する。

聴衆の心を掴む演奏をした時、孤独を克服し聴衆と音楽を共有できる。


詩月は、そうリリィに教わった。



予選課題曲は「メンデルスゾーン、ヴァイオリン協奏曲」いわゆる「メンコン」派手な曲ではないし癖のない曲だ。



それ故に難曲と言われているヴァイオリン協奏曲だが、詩月はリリィとアランを思い出し、彼らに捧げる思いで演奏し、何とかミスなく弾ききった。



次は安坂と共に予選1、2位通過で決勝へ進む。



結果は、まさに「神任せ」と言いたいところだが、正統派の安坂が有利だろうと詩月は思った。



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