金木犀のアリア
「ったく、これだけ弾けるのにヴァイオリン専攻していないなんて反則だよな」
「そうね~。才能って遺伝なんだと彼を見ていると思うわ」
「周桜の母親は自宅でヴァイオリン教室やっているんだよな。なのに何で母親に師事していないんだ?」
「親子というのは知らず知らずのうちに、弾き方が似てしまう。周桜がそんなことを言っていたな。実際、少し前まで周桜のピアノは父親の演奏にかなり似ていた」
「たしかに凄かった。鳥肌が立つくらい」
「詩月のおかんは腱鞘炎で演奏家を断念してるし、ヴァイオリンを教室開いてるから尚更、息子を贔屓できないからな」
詩月の幼なじみで詩月の家の隣りに住む岩舘病院次男、岩舘理久が口を挟む。
彼は聖諒学園普通科から医大に進学し、毎日過酷なスケジュールと戦っていて、たまに息抜きと称し、カフェ・モルダウに顔を出す。
「ああ、それでリリィさんが師匠だったのか~」
「リリィさんって……春先まで、よくいらしていた貴婦人風の?」
詩月は、ピアノ正専攻でありながら副専攻のヴァイオリンの演奏でも、学内で鬼と名高い教授に師事している。
「そうね~。才能って遺伝なんだと彼を見ていると思うわ」
「周桜の母親は自宅でヴァイオリン教室やっているんだよな。なのに何で母親に師事していないんだ?」
「親子というのは知らず知らずのうちに、弾き方が似てしまう。周桜がそんなことを言っていたな。実際、少し前まで周桜のピアノは父親の演奏にかなり似ていた」
「たしかに凄かった。鳥肌が立つくらい」
「詩月のおかんは腱鞘炎で演奏家を断念してるし、ヴァイオリンを教室開いてるから尚更、息子を贔屓できないからな」
詩月の幼なじみで詩月の家の隣りに住む岩舘病院次男、岩舘理久が口を挟む。
彼は聖諒学園普通科から医大に進学し、毎日過酷なスケジュールと戦っていて、たまに息抜きと称し、カフェ・モルダウに顔を出す。
「ああ、それでリリィさんが師匠だったのか~」
「リリィさんって……春先まで、よくいらしていた貴婦人風の?」
詩月は、ピアノ正専攻でありながら副専攻のヴァイオリンの演奏でも、学内で鬼と名高い教授に師事している。