金木犀のアリア
2話/リリィ
ヴァイオリンの師匠リリィが亡くなった。
詩月が訃報を聞いたのは、リリィの葬儀の当日。
坂の上の豪邸に住むヴァイオリンの師匠リリィは、清楚で気高く品のある、凛とした女性だった。
師匠の名前は百合子。
日本人だが、その名前と雰囲気から百合の花を連想させるため、リリィと呼ばれていて、詩月も師匠をリリィと呼んでいた。
詩月は私立聖諒学園の音楽科3年生でピアノとヴァイオリンを専攻している。
両親は共に音楽家だ。
父親はピアニストで、音楽の都と称されるウィーンを拠点に演奏活動をしていて、年に数えるほどしか日本にいない。
母親はヴァイオリン教室の生徒のレッスンで忙しい。
詩月はピアノもヴァイオリンも、両親から教わった記憶がほとんどない。
ピアノは物心ついた頃から父親の友人で、著名な指導者に教わっている。
ヴァイオリンは、リリィに5才から高校受験まで指導を受け、現在はリリィの教え子の元ヴァイオリニストに教わっている。
65歳。短い生涯だ。
リリィにはもっと、ヴァイオリンの指導をしていてほしかったし、彼女の演奏をもっと聴きたかった。
そして、もっと彼女に演奏を聴いていて欲しかった。
詩月が訃報を聞いたのは、リリィの葬儀の当日。
坂の上の豪邸に住むヴァイオリンの師匠リリィは、清楚で気高く品のある、凛とした女性だった。
師匠の名前は百合子。
日本人だが、その名前と雰囲気から百合の花を連想させるため、リリィと呼ばれていて、詩月も師匠をリリィと呼んでいた。
詩月は私立聖諒学園の音楽科3年生でピアノとヴァイオリンを専攻している。
両親は共に音楽家だ。
父親はピアニストで、音楽の都と称されるウィーンを拠点に演奏活動をしていて、年に数えるほどしか日本にいない。
母親はヴァイオリン教室の生徒のレッスンで忙しい。
詩月はピアノもヴァイオリンも、両親から教わった記憶がほとんどない。
ピアノは物心ついた頃から父親の友人で、著名な指導者に教わっている。
ヴァイオリンは、リリィに5才から高校受験まで指導を受け、現在はリリィの教え子の元ヴァイオリニストに教わっている。
65歳。短い生涯だ。
リリィにはもっと、ヴァイオリンの指導をしていてほしかったし、彼女の演奏をもっと聴きたかった。
そして、もっと彼女に演奏を聴いていて欲しかった。