金木犀のアリア
「君はサラサーテの『ツィゴイネルワイゼン』を選曲するんだと思っていた」



「あんな難曲。私には、とても無理」



「そうかな?……」



詩月は、首を傾げる。




「フォーレの『夢のあとに』とサラサーテの『ツィゴイネルワイゼン』は似ていると思うが……」



「え!?」



「どちらも、滝廉太郎の作曲した『荒城の月』のメロディーに似ていて、土井晩翠の詩を思い出させる」



「えーーー!?」



春高楼の花の宴
巡る盃かげさして
千代の松が枝わけ出でし
昔の光いまいずこ
(作詞 土井晩翠)



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