ご主人様に監禁されて


リルは急いでいた。


姉に王位が行く前にさっさとルコーラとの関係を露呈させ、王位を奪還したかった。

できれば姉と一緒に裁くことが目的だった。


「ほかの事件……?」


「はい。端的に言ってしまえば、私を殺そうとしてたのです。だから…」

「り、リルちゃんを!?」

目を見開いて声を荒らげた。

驚いてついティンが身構え、敵じゃないことを思い出す。


「だ、大丈夫なのですか!?リルちゃんお怪我……あ!お手手!」


リルの手に巻かれた包帯を見て、血相を変えた。

真っ青になって本当に心配してくれていて、思わず笑みになる。


「これは自業自得というか。大丈夫ですよ、心配してくれてありがとうございます」


これはリルがガラスのついた手でルコーラを平手打ちしたからできた傷だ。


そこまで深くないのでガーゼでもいいのだが、過保護なティンが包帯でぐるぐる巻にしたから、少し大袈裟に見える。


「自業自得じゃねーだろ。露を自分から浴びに行くなっつー話だ」


「ごめんなさい、あなたの仕事がなくなってしまいますものね」


露を払うは護衛の役目。

汚れを背負い、盾になるために、彼はいる。


「うぅ……でも……」

「優しいのですね、ありがとうございます」

包み込むような笑みで言われて、何も言えなくなる。

「ところでメイちゃん」

「はい」

「ルコーラのこと、どう思ってますか?」


不意に聞かれ、どきりと固まる。


どう、と言われても。

ドクドクと心臓がはやくなるのがわかった。


「ど、どーって……いや、です」


「どのレベルまで嫌いですか?ちなみに私は花瓶で頭をぶん殴り、平手打ち可能なレベルです。仕上げは生爪剥ぎですね」


「や、やばんですっ!しちゃダメです!
リルちゃんが怪我しますっ」


「……」


苦い顔をしたリルをティンは見逃さなかった。
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