ご主人様に監禁されて
「野崎、メイはまだだめそうか?」
「男性への恐怖というのは無理やり治すものではありません。気長に待ちましょう」
「……わかってはいるさ」
頭では理解していた。
陵辱を与えられたばかりの女の子に、無理やり接して傷を深くするような愚かな真似はしたくない。
けれど、メイはどうもルイのみを避けてるような気がしてならなかった。
ティンには普通に抱きついて、お兄ちゃんの夢を見て。
なのにルイだけ、いつまでも避け続けるのだ。
辛いことこの上ない。
胸がはちきれそうだった。
作業をとめればメイが溢れ出し、思いは強くなる。
ここまでだったのか、と、自嘲した。
メイに対する依存にも等しい愛は、ここまで強かったのか。
「……野崎」
「はい」
「…お前、コーヒーいれるのが下手になったな…どうした、疲れてるのではないか?」
「ぅえ!?」
野崎が声を上ずらせて、肩をびくりと上がらせた。
あまり聞かない動揺の声に驚く。
「そ、そんなことは……疲れてるのは社長では?」
「そうか…まあ野崎にはメイを押し付けてしまってるから、疲労もするだろうな。悪かった」
「あ…いえ、そんなことは…」
いきなり労われたからか、まだ動揺していた。
「では私はこれで。必ず休んでくださいね」
そそくさと退散した野崎に不審がりながら、言われた通り背もたれに体を沈めた。