ご主人様に監禁されて


「……野崎、話がある」


「なんでしょうか」



「もし僕が死んだら、会社の後継者は兄だ。

とても良くできる尊敬している人だから、もしよければついてやってほしい」



「一一な、」



あんぐりと口を開け、怒りが出てきた。


「社長!死ぬつもりですか!?」


「ああ。メイのいない世界に用などない」


あっさりと言い放った彼に唖然とした。
まるで、それが当然だというように。

たまらず、口から言葉が出る。


「メイちゃんだけがすべてじゃありません、他にもあなたを必要とする人が」

「そんなの、いるはずがない」


淡々と。

感情など、一切ないように。


「言っただろう、初めて欲したのはメイだった。それからずっと、メイ以外を欲したことは無い」



「……やめて、」


聞きたくなかった。

野崎は彼が好きだった。

仕事もよく出来ていて、冷静で、周りをきちんと見れる人。

憧れていたのだ。


だから、彼のこんなに人間らしくない一面を見たくなかった。


確かに底が見えない人だが、ここまで理解出来ないとは。


わかりあえないとは。


「野崎?」



「やめて下さい……っ、社長を必要としている人はいます、たぶんあなたが思っている以上にあなたは愛されてるんです」


「慰めてるのか?メイの代わりなんかいるはずがないだろ!」


思わず激高した彼は、振り向いて口論して息を飲んだ。




あの野崎が目に涙を浮かべている。



ぎょっとして詰まっていると、野崎が叫んだ。
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