ご主人様に監禁されて
◇◇◇



雲を朝焼けが赤く染め、幻想的な風景を醸し出すまだ起きるには早い朝。

瑠璃は家電をかかえて、ぐっすり眠ってる少女を起こさないように一一ベランダへ出た。

朝焼けに白髪がキラキラと照らされる。

番号を入力して、通話ボタンを押した。

何コールか待った後。



【はい、ティン・ニグラスです】



知らない言語。

外国に電話をしているのだから当然だ。

焦った瑠璃だが、ティン・ニグラスだけは聞き取れたため、日本語で返した。


「あの、…瑠璃、です」


『あっ!瑠璃!どうしたんだー?』


久しぶりの友達の声。

懐かしみながらも要件を思い出す。


「…今リル…あいてる?」


『えー、あー……実は今ちょっと公務に追われてて……て、うぁあっ』


なにやら悲鳴。ガサガサと音がして、ティンが何者かに襲われたのがわかる。


『なんですか!?誰ですか!?今日本語でしたよね!日本の誰からの電話ですか?』


見知った日本語の声。やや興奮気味だ。


『お前今河川の土木工事の手続きの真っ最中だろ!なんでいんだよ!』


『あー!わかりました、瑠璃ですね!もしもし?瑠璃!愛してますよ!』


ティンのお叱りを完全無視したリルは、話もしてないのになんでわかったんだろうと思いながら、声を出した。


「久しぶり、リル」


『瑠璃だー!瑠璃の声ですよ!ティン!!』


『おい!手続きは!』


『そんなのあとです。ロールメスさんに待つように伝えてきてください一一瑠璃、邪魔者はいなくなりましたよ〜』


ティンを追いやってから、嬉しそうにはしゃぐ。

犬だったらしっぽをブンブン振ってる状態だ。

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