ご主人様に監禁されて
『どうしたんですか?瑠璃。電話は嬉しいのですけど、あなたからなんて初めてです』
「……ごめんね、迷惑だった?この時間帯なら昼間だって伺ったから……」
『いえいえ!あなたからの電話はいつでも嬉しいですよ!
……そもそも来客の応対はご指名がない限り姉上だったのですよ。それを押し付けられたんです。
まあ刑務所の中に追いやったのは私ですからね、仕方ないのですが』
「……」
笑って聞ける内容ではない。
母親の仇とはいえ実の姉を殺すために刑務所に追いやったのだ。
「……次会うとき、血なまぐさかったらゆるさないから」
『ふふ、かわいらしいこと。手の傷くらい命に支障はないのですってば』
呑み込めない考えを押し付けられた。
瑠璃はそれが嫌で、少し毒をはいてやろうと言葉を選んだ。
「……それ、メイちゃんにも言うつもり」
向こうで息を飲んだのが電話越しでもわかった。
奥がしれない彼女が、珍しく動揺している。
そう考えると大事な子なのかと推測がつく。
『な、んであなたがメイちゃんを』
「家にいるの。家出してきたらしいの。……今日の電話の理由はそれ」
『なっ、』
唖然としてるのだろう。
彼女らしくない、珍しい反応だった。
「……リル、だいじょうぶ?」
『……すみません、ちょっと驚いてしまって……まったく、困った子ですね。彼女はいま?』
「寝てる。今こっちは朝だから」