ご主人様に監禁されて
『そう……。なんでメイちゃんがメイちゃんだと?』
「昨日の夜家出してるとこ拾ったら、あなたのリボンを持ってたの」
『……地球は狭いですこと』
呆れたようにつぶやいてから、彼女はため息をついた。
『あの子、監禁されてたんですよ』
日常では聞きなれないことばだ。
覚悟を決めて話を聞くことにする。
『いえ、一方的なものとはいえ愛のある行為です。
守るための行為が監禁だっただけ、そしてそれは決して間違ってはいません。
あの子もそれを受け止めてると思ってました』
少し悲しそうな声だった。
守るための行為が監禁なんて、どういう状況下だろうと考えるが、一向に推測なんてつかなかった。
『……何があったのでしょうか。わたしはあの子が何を考えてるのか知りたい』
「……ずいぶんと目をかけてるのね」
『ええ、私笑顔が似合う子が大好きなんです。一番幸せになれる道をお膳立てできるのなら、協力は惜しみません』
「……うそだね」
『バレましたか』
彼女はそんな美しい人ではない。
女神のような美しさと、どこから出てくるのか不思議なくらいの綺麗事で、人々はころりと騙される。
昔からそれらで欲望を隠してきたのだ、瑠璃に見抜けないことなどない。
「……笑顔が似合う子が好きなんて、初めて聞いたもん」
『ふふ、大嫌いですわそういう子。幸せに生きてるようで虫唾が走る』
驚くほど冷酷な、残酷すぎる天使。
奥がしれない一一だからこそ、彼女に惹かれるのかもしれない。
彼女をもっと知りたくなる、もっともっとと思ううち、引き返せないほど深く来ている。