ご主人様に監禁されて

メイは、暴力沙汰になると昔の記憶が戻ってしまうようになった。



恐怖ゆえ、自分を守らねばという感情がはたらき――メイは現代の自分を傷つけないように、昔の自分を出す。

その時系列に幼児退行してしまい、現代のことを忘れてしまう。

いわば二重人格なのだ。

そんな現代の彼女を呼び戻すのは、“お兄ちゃん”だ。


昔、“お兄ちゃん”は頭を撫でてメイを慰めたらしい。


その動作で彼女は『危険な状況ではない』と認識し、現代の自分に戻る。


先ほどのルイの頭撫では、呼び戻す儀式なのである。




「あれぇ?メイなんで湿布だらけなんです?
あ、痛いぃ…!」


「ば、ばか!患部を押すな!痛いに決まっているだろう!」


自分で患部を押し、痛いと嘆くバカなメイに、ルイは本気で心配しだす。


きゃあきゃあと密室で騒ぎ出す二人に、『自分でやったんだろっ』と突っ込むものは今日もいない。



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