ご主人様に監禁されて
「ちょ、リル…一応頼んだ方がいいんじゃないか?」
ティンがそっとリルに耳打ちをするが丸聞こえである。
どうみても見た目通り間抜けなのだが。
「…いるかしら?」
顎に手を当てて思案するリルに、コクコクと頷く。
「日本も安全って言えないぜ?」
どんな環境で育ってきたのやら、かなり真剣に言うティンに。
「でも、何かあったらティンに守って欲しいのよ、私」
少々、小馬鹿にしたように一一誘うように。
色香を放ちながらそう言うリルに、一気に頬を染めるティン。
耳まで真っ赤にして口をパクパクして、あうあうと小さく叫んで。
「し、死んでも知らねえかんなっ」
隠すようにそっぽを向いてしまった。
くっくと手で口元かくして愉快そうに笑うリルに、他人のルイまで赤くなりそうになった。
(…なるほど、こういう関係なのか)
家出というより、ハネムーンではないか。
これは騒がしくなりそうだ、と覚悟を決めた。