ご主人様に監禁されて
衝撃の事実に目を見開いていると、淡々とルイは語り出した。
「…ちなみに僕は、リル様の見方だ。大昔に忠誠を誓った。
お姉様と無理やり結婚させられた兄もそうだ。リル様のお姉様は少々性格に難があるから」
だから、リルは家出の際つてを頼ってきたのだ。
家庭内で姉派かリル派かで割れてるのである。
母親にいかにリルやその母が素晴らしいかを叩き込まれたルイ達が、リル派につくのは当然だった。
「…そんな壮絶な過去が…」
「こんなのは序の口だ」
まだあるのか、胃が痛くなりそうだと野崎は顔を歪ませた。
「ところで社長」
「なんだ」
「あなたはルコーラ様の何が憎いのですか?」
「だから、一一っ」
言葉を詰まらせたルイは、次の瞬間に、笑う。
くくっ、と、引きつった笑いで。
「野崎はなんとしても僕にメイの話をさせたいようだな」
今のは、過去にあった波乱な人生だ。
母親を殺された、王女を殺された一一それを恨むことはあろうが、父親を一方的に避けた理由だとは言わなかった。
察してくれとでも言いたいのか。
しかし、そんな言い方をする人間ではない。
そも、野崎はなんでそんなに仲が悪いのかと聞いた。
ならばルイが直接衝突でもした話をするべきだ。憎いのならここが憎いとはっきり言うべきだ。
何かをはぐらかすような物言いに、核心に振れたがらない言葉遣いに。
野崎はイライラしていた。
「メイさんに関係があるんですね、なるほど」
「隠したいのがわかるだろう」
「そうですね、察しました」
「……引かないところが野崎らしいな」
「今は一緒に暮らしてます、彼女の話しなら、すべて聞きたいというのが本音です」
「僕のだ」
「黙ってください」
「……」
引かない姿勢を見せた彼女にため息をついた。
すべて卒なくこなす野崎の強情さ。
ここで引いたら、たぶんずっと聞かれるだろう。
「…わかった、話そう」
そして彼は、メイにも言っていない、重い口を開いた。