ご主人様に監禁されて
「あの、メイ邪魔じゃないですか?なんというかそのぉ……野崎さんの生活を乱してる気が」
「いえ、むしろ萌を与えて頂いておりますので」
「ふえ?も、もえ?」
「……忘れてください」
パシャパシャとノートパソコン特有のキー音がして、ボソリと言った。
「メイさん」
「はいっ」
「私が気を使わせてたら申し訳ありません。もっと寛いでくれて結構です」
「は、はい……」
「あなたは、今だけはこのおうちの子なのですから」
ノートパソコンで見えないと思ったのか、うすく笑ってくれる。
日頃生真面目な彼女が見せる笑は、釘付けになる。
ぽうっと見とれてると、いつもの真面目な顔になって。
「どうしました?メイさん。クッキー、おかわりしますか?」
「いえ…大丈夫です」
“あなたは、自分が愛されてることを信じてください”
その言葉が胸に浮かぶ。
彼女は一一野崎はどうだろうか、自分のことを好きでいてくれてるだろうかと、不安だった。
疎ましく思われてるのではないかと。
なぜなら、野崎はあまりスキンシップを取りたがらない。
どこか事務的だ。
家にいるのに自分のせいで寛げないのならば、きっと疎ましいだろう。
そう思ってたのだが。