初恋の女の子〜あの子にあえたなら〜
電車が止まった、駅に着いたようで人が降りていった、まだ目的の駅ではないので俺達は降りない。かなりの人が降りてちょうど座るところが二つ空いたので咲子ちゃんを起こさないように座らせてそのとなりに俺は座った、咲子ちゃんは最初は俺の肩にもたれていたが倒れてしまいそうだったので膝枕をしてあげた。 俺は今、この瞬間が幸せで仕方がない、咲子ちゃんは寝ているだけだが近くにいる、彼女の温もりを感じる、それだけで幸せである。 俺は咲子ちゃんに言わなかったが不安に思うことがある、大人になった咲子ちゃんが俺のことを覚えているかどうかである、十数年の月日は人の記憶を忘れさせるのに十分な時間だ、もし忘れていたら思い出してくれるのか、思い出してくれなければ俺は絶望してしまうだろう、他に好きな人ができていてもかまわない、俺のことを覚えていればそれでいい、俺は咲子ちゃんの寝顔をみてそう願うばかりであった、俺は別れが迫る度に咲子ちゃんを好きになっていく、離れたくない気持ちがどんどん膨らんでいく、俺の胸はしめつけられていってしまう、離れたくないが離れなければならない、これほど切なく悲しいことはない、こんなに好きなのに。