初恋の女の子〜あの子にあえたなら〜

お母さんに呼ばれて家を出るとタクシーが待っていた、いつもなら歩いていける距離だが私が誘拐されたと思い込んでいる両親は少しでも安全性を考えた末の判断だったんだろう、私はタクシーに乗り込んで座った、外では両親がおじいちゃんに何かを言っているようだ、その間にタクシーの中にいるとなんとも独特な匂いがする、私はこの匂いが少し苦手だった、私は車酔いをする方だが車が揺れたりして酔うことよりもこの匂いで酔うような気がしてこの匂いをどうにかしてほしいと思う時がある、今がまさにその瞬間だった、私は思わず、窓を開けて外の空気を吸った、するとお母さんが見ていたのか、顔を窓に出してはいけないと注意されてしまったので、仕方がなくこの車の匂いをできるだけ嗅がないように鼻をつまみながらお母さんたちが乗ってくるのを待っていた。
暫くするとお父さんが前の助手席に乗って、お母さんが私のとなりに乗ってきた、そしてお父さんが運転手に行き先を言ったら、タクシーは動き出した、私は後ろの窓からおじいちゃんに手を振った、いつもより寂しかった、未来でおじいちゃんの死を知ってしまったので、できるかぎりそばにいたかったからだと思う。