初恋の女の子〜あの子にあえたなら〜
俺は手紙を智子さんに渡した、そしてその場を去ってしまった、俺はどこに行くあてもなく、全く知らない町をどこの方向に進んでいるか、わからずに歩いた、寒い夜風が吹いてくるが寒さは感じない、何も考えたくなかった、何もしたくなかった、ただ歩いているだけだ。 そしていつの間にか駅についた、この駅は咲子ちゃんとバスに乗った時の駅だ、バス停の横にベンチがあったので座った、もう夜中なのでバスが出ていない、電車も終電で動いていない、店もコンビニが空いているだけで他の店は閉まっていた、そして人はほとんどいない、ほぼ駅には俺一人しかいない、声もしなければ物音もほとんどしない、するといえばたまに空き缶が風にのって転がっていく音がするくらいだ、俺は今、完全に一人だ、寂しい、切ない、自分への怒り、咲子ちゃんに残酷な運命を与えた神への怒り、そして何よりも自分は咲子ちゃんが寂しいときや困っているときに何もしてやれなかった事が悔しかった、勇気づけられたと手紙には書いていたがもっと何かしてやれたはずだと思った、もっと早く気がつければ、俺はこんなに苦しまずにすんだかもしれない、咲子ちゃんと少しの間、一緒にいれたかもしれない。
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