初恋の女の子〜あの子にあえたなら〜
父親はビックリしてすこしお茶を溢しそうになっていた。父親は「そんなに慌ててどうしたんだい」と少し怒った口調で言った。おれは「あの子はみつかったの?」と聞いてみたら父親は「それがまだ見つかってないんだよ、また夕方ぐらいから探すつもりだ。お前は心配しなくていい、きっと無事だから。」と言ってため息をついた。あの夜から明け方まで父親たちはさがしていたみたいなのだが全く手がかりがつかめなかったようだ。警察が今は全力で捜索中で誘拐事件の可能性があると見ているようだ。おれは「きっと無事だから」という言葉を信じられず、心配になってきた。
せっかくの御節料理と言っても子供にとってはあまり美味しくなかったが今回は更に美味しくない、お年玉をもらってもうれしくない、あの子が心配で仕方がなかった。誘拐事件だったらどうしよう、俺があのとき願い事に夢中にならなければもしかして誘拐されなかったかもしれないと自分を責めだした。あとでおれも探しに行こう、俺が絶対見つけてやると心に決め、あまり美味しくない御節料理をむさぶるようにして食べた、腹が減っては戦はできないという言葉を心に念じながら。そして臨戦体制が整った。
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