初恋の女の子〜あの子にあえたなら〜
おれは気づいたら走っていた、もしかしたら、咲子ちゃんの両親なら咲子ちゃんの居場所がかもしれない、いや、タクシーに乗っているかもしれない、そしてこのチャンスを逃したらもう会えないかもしれないと考えていた、さっき、走って疲れているが、そんなことはいってられない、走るんだと自分に言い聞かせて頑張って走った。 後ろから孝介と憲一が追いかけてきた、おれのスピードは孝介はともかく憲一のあの早い走りに勝るとも劣らない速さだ、憲一が追いついてこない。 タクシーが百メートル先ぐらいの交差点で止まった、どうやらだれかがタクシーの前を横断しているか、信号で止まっているかわからなかったが止まった。この機を逃すものかと、足に力が入らなかったが火事場の底力で走った。タクシーは走り出した、タクシーをよく見ると後ろの窓から誰かが手を振っていた、咲子ちゃんだ、おれは手を振り替えしたが途中でこけてしまった。タクシーはそのままその場を走り去っていった。
おれはこけたまま、拳を地面に何度も叩きつけながら泣いた、やっと会えたのに手を振り返すしかできない何も話せない、何より友達になりたかったのに、なれなかったことが悔しかった。
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