初恋の女の子〜あの子にあえたなら〜
おれは酒豪の孝介でも疲れて飲んだビール2杯で悪酔いしたんだなと思い、後ろを振り向いて孝介の顔を見てみると酔っているどころか、驚いた顔をして、酔いは覚めている様子だった、その横で憲一は口をあけながら驚いた顔をしている。おれは二人の目線の先にあるものを見ることにした。 人混みの中におれの祖母がいた、これは幻か、幽霊か、目を擦ったり、自分の頬を叩いてみたり、つねったりしてみても祖母がいる、足があるから幽霊ではないようだ、なによりも俺たちが同じ人を見ているのだ、十数年前に亡くなった祖母を、生きているはずのない祖母が、少し遠くてわかりにくいが、間違いなく生きて俺たちの目の前にいる。 祖母はおれたち気づいていないのか、周りをキョロキョロと見ている。もしかしたら他人かもしれない、その可能性が高いのは当然である、そんな奇跡みたいなことがあるわけない。本当に祖母なのか、確かめてみたい、俺たちは恐る恐る祖母にそっくりな人に近づいていった、俺は、勇気を出して声をかけた、「おばあちゃん、誰かを探しているの?」と言ったら、祖母らしき人はこちらを見て少しだけ俺を見つめて、「あんた、宗次郎だね。」と嬉しそうに言った。