YUME話
 少年は俯いた。

 国の命により彼らの命は決められている。当然、私も。しかし、少年は諦めきれないらしく結局そのまま連れて帰っている。そして私はそれを咎められない。彼の優しさを知っているから。



「よかったな、ミケ。」

それは猫用の名前だろう。しかももう名をつけたのか。子犬と同じ少し潤んだ幼い瞳は満足そうだ。

「俺が逝ったら、また別の奴に可愛がってもらえ。」

一瞬どきっとしたが、彼は笑顔だった。



 かわいそうな奴らだ。まだ、何も知らないのに、その純粋さを国に捧げろなんて。しかも身寄りが皆死んだ私とは違い、まだ親御さんも生きているのに。その親より彼らは先に逝くのだ。















「うどんでも食べるか。」
私の言葉に食べ盛りの彼らは目を輝かせた。
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