YUME話


「日の宮様。僕のは出来ました。ほらっ。」


戻ってきた少年は何事もなかったように、無邪気な顔をして、綺麗に編めた花鎖の冠を私の頭の上へ置いた。

「わぁ・・・日の宮様、すごく綺麗です。」




その愛らしさに思わず笑みがこぼれる。


「ありがとう。お世辞でもうれしいわ。」


そういって私の編んだ冠も彼にかぶせた。




とてもよく似合っていて、可愛い。


「お世辞では、ありません。本当にそう思ったのです。」





そういって少年は、私の手を取った。









私と同じくらいの大きさの手は少し冷たかった。
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