YUME話
「日の宮様は、僕が今までに出会った女性の中で一番美しいです。」
少年がそう言った後、「あの方」が口を開いた。
「二の君、いつまでもそんな子供のようなことをしていないで、そろそろ部屋へと帰りなさい。明日から大人になるのです。日の宮とそうやって遊んでいられるのも今日までですよ。」
少し、意地汚い言い方だった。
いつもならそんな「あの方」の言うことでさえ、素直に聞く少年も、このときは聞かなかった。
「嫌です・・・。」
私にしか聞こえない小さな声で少年は呟いた。
「日の宮様とずっと一緒にいたい・・・僕は大人になんてなりたくない。日の宮様、僕は日の宮様が大好きなんです。」
私の手をとったままそう言った彼の眼は涙でいっぱいだった。